【フィールドワーク通信】36. 和具のまちあるき(2)

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。

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昼食後、まちあるきを再開しました。

がまんの丘

広の浜の近く、標高12.5メートルの所に「がまんの丘」と呼ばれる場所があります。
眼前に広がる太平洋に浮かぶ大島と小島が正面に見えます。

冬でも陽光が降り注ぎ、高齢になって引退した漁師や海女たちが、若かりし頃の武勇伝を語り合う場所です。
目の前には変わらず海があるのに、年齢を重ねて体がいうことを聞かなくなり海に出られない、そんなジレンマから「がまんの丘」と言われるようになったともいわれています。

ビールケースを利用した手作り感満載の椅子が用意されていて、誰でも利用することができます。

水平線上の向かって右側が大島、左が小島です。

大島

和具の沖合に浮かぶ無人島で、島の周囲には岩礁が広がり、近年は磯焼けで漁獲高は減少しましたが、以前は「和具の金蔵」とも呼ばれるほど多くのアワビやサザエが獲れました。

毎年旧暦の6月1日に行われる「大島祭り」は、別名「潮かけ祭り」ともいわれ、多くの人が大島に上陸し、賑わいをみせます。
海女たちは朝早くから大島周辺を潜り、獲ったアワビを祠に供え、一年間の海上安全と大漁満足を祈ります。
(令和2〜3年は新型コロナウイルスの影響から神事だけが行われました。)

小島

陸に面している北側には砂浜が広がり、ウミガメの貴重な産卵場所になっています。

 

当日は風が強く少し寒かったのですが、歩いているうちに体がぽかぽかしてきました。
久しぶりの散策はとても楽しく、志摩の魅力を再認識することができました。

マスクを外して志摩の磯の香りを胸いっぱい吸い込みながら散策する、そんな日が早く来ることを願うばかりです。

参考:配布資料「美しき海女のふるさと 和具を巡ろう」
  『志摩町史 改訂版』平成16年発行

(﨑川由美子)

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