【フィールドワーク通信】60. 安乗の人形芝居

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。

2022年9月10日 待ってました!!

「安乗神社秋季例大祭奉納 安乗の人形芝居」(重要無形民俗文化財)上演

この日はジンクスの雨も降らず、中秋の名月でとても穏やかな夜でした。

17時、神社総代による「三番叟」に始まり、東海中学校郷土芸能クラブ所属の中学生による「鎌倉三代記」へと続きます。

(三番叟)

コロナ禍で、観衆の前で披露できるかどうかわからない5月から、練習を始めたそうです。
当日は中学生9人が三味線と人形遣い手に分かれ、頑張って演じていましたよ。

この外題を演じるため、人数が足りない分は安乗人形芝居保存会が力添えをしていました。
この祭りの醍醐味、花(おひねり)も中学生に向けてたくさん飛んでいました。
その様子を見て、なんだかわくわくしました。

(中学生による三味線)

(鎌倉三代記)

下の写真は、舞台裏で出番を待つ人形たちです。
何だか人形たちも緊張の面持ちかな。

中学生の後は、安乗人形芝居保存会による「生写朝顔話(しょううつしあさがおばなし)」「壺阪観音霊験記(つぼさかかんのんれいげんき)」「傾城阿波の鳴門(けいせいあわのなると)」の上演です。

とても見応えがあり、感動の一言でした。


(安乗人形芝居保存会による「壺阪観音霊験記」)

約400年余りも前から続く安乗の人形芝居の上演、今、こうやって私たちが見ることができるのは、地元団体、人形芝居保存会、関係者の方々の努力と熱意があってこそだと感じました。

後継者育成に向けた取り組みなど、保存会の地道な活動に頭が下がります。

新型コロナ感染症の影響で昨年と一昨年は上演がなく、3年ぶりの上演でしたが、観衆からも大きな拍手が送られていました。
今から来年が楽しみです。

(西﨑睦美)

人物の写真は地元の方から掲載許可をいただいています。