【活動報告】「現役志摩の海女さんと語る!海女の魅力 in海博」第1回を開催しました

鳥羽市立海の博物館と三重大学海女研究センターが主催するイベント「現役志摩の海女さんと語る!海女の魅力 in海博」の第1回が10月15日に開催されました。

イベントの概要はこちらから。

今回は志摩市阿児町志島の海女さんお二人にお越しいただきました。

海女歴56年、70代のベテラン海女さんと、大阪から移住して海女歴9年、30代の若手海女さんです。


左のお二人が海女さん。

ベテラン海女さんは、子どもの頃から桶を持って海で遊び、海底の石などを潜って拾っていたそうです。母が海女で、見よう見まねで潜ったとのこと。
結婚を機に、20歳から本格的に海女として働きはじめました。

子育てしながらできる仕事やから。(中略)私らの地元では、嫁ぐときには、嫁ぎ道具としてタンスよりも磯桶、それを持ってみんな嫁ぐんです。
でも(海女の)仕事が合う人と合わん人がおるやんか。そやで辞めてく人のほうが多かった。10人のうち1人か2人残るくらい。

海の博物館調査では、彼女が生まれた昭和20年代には、志島に192人の海女さんがいたとされています。
一方、現在漁に出ているのは5人程度。近年は海士も増え、海女さんと同数ほどいるそうです。

若手海女さんは大阪から単身、海女になるために志島にやってきました。
大学を出てから就職し、7年間販売の仕事をしていました。

モノを売る仕事をしとるときに、「私たちが売っとるモノはこれやけど、このモノには1つ1つストーリーがあって、モノを作るときに気持ちを乗せられるような仕事が素敵やな」と思ったので、生産する方の仕事がやりたいなと思ったのと。
あとは自然が好きだったので、一次産業で何かないかなと思ったときに、水泳とかやってたので、「これは海女さんじゃないかな」と思って、海女さんどっか募集ないかなと調べて。

「どうして『海女』に思い至ったのか」の問いには、

けっこう旅が好きで、19歳くらいのときに淡路島をぐるっと回ったことがあって……冬の季節に、洲本の海岸線を走ってるときに、海女さんが潜ってるとこに遭遇したんです。
沖からやってくる波に息を合わせて潜ってる姿がかっこよくて、横で鳥が羽を伸ばしてて、自然と一体になってるじゃないけど……そのときめちゃめちゃかっこいいと思って。
なにかタイミングがあったらこれやりたいなと思ってたんですけど。

それに対しベテラン海女さんは、地元漁協が海女さんの後継者を探していて、来てくれた人は誰でも受け入れる、歓迎するというスタンスだったと話しました。
若手海女さんも、海女小屋に所属しベテラン海女さんたちと家族のような関係を構築するなかで、居心地の良さを感じていったようです。

志島は例年5月1日〜9月14日までアワビ漁をします。
5月開始というのは、志摩の中では最も遅いそうです。かつては4月15日から潜っていましたが、資源量が減ってきたため時期をずらしたとのことでした。

普段使っている道具も見せてくださいました。

浮き輪のようなものはタンポ、網のようなものはスカリと呼ばれ、これを海に浮かべて獲物を入れます。
ベテラン海女さんは30年前に木製の磯桶からこのタンポに変えて以来、同じものを使い続けているそうです。

写真のように、海女さんたちは道具をタンポに器用にくくりつけて海に持っていきます。

去年の「現役海女さんと語る!海女の魅力in海博」のレポートでも海女さんの道具の写真を掲載してきましたが、地域によって形に差があることがよくわかります。


菅島の海女さんと道具(去年のレポートより)


答志和具の海女さんの道具(去年のレポートより)

志島の海女さんたちは、魔除けのためにウエットスーツの上から白い衣服を着るそうです。
さらに、ドーマンセーマンの印も描いて魔除けにします。かつてはニシ貝の汁や祈祷を受けた墨を使いましたが、現在はマジックペンで代用しています。

私は海女やりたいっていうくらいやから、最初来たときにいろんな妄想があって……ドーマンセーマンを見たときめっちゃ感動したんですけど、「昔はニシの尻をチャッて潰してそれでビャッて描いたんや」って言ってて、私のこの帽子はどうしたらいいですかって聞いたら、マジック渡されて「自分で書け」って言われて(笑)
(中略)でも、その辺にあるもので描くって感覚は(昔から)一緒なんでしょうね。(若手海女さん)

海の環境についても詳しくお聞きしました。
志島は、磯焼けの被害が大きい地域のひとつです。
ベテラン海女さんは、50年前の海と比べ「海藻の種類や量が減った」と実感しています。

また、アワビの変化についてこう話していました。

海藻が減っているところでは、アワビがいても死にそうなやつしかいないですね。食べ物(海藻)がないんで、ガリガリで、もうちょっとしたら死にます、みたいな……。(若手海女さん)

アワビの貝殻も弱っとる。殻でわかる。(中略)まず色が違うのと、壊れそうな薄い、ノミをかけたら割れるような貝殻。元気な貝殻は全体に厚みがあるけど、弱ってくると、貝殻に透けたようなところができてくる。(ベテラン海女さん)

若手海女さんは、浅い場所のアワビが減ったため、徐々に深い場所に潜れるよう練習しているそうです。

一方で、シビアな資源状況のなかでも海女を続ける原動力として「海女さんの仕事は楽しい、いじめもなくて(ベテラン海女さん)」「大きな自然と仕事をしているという仲間意識がある。先輩たちの話を聞いていると、当時にタイムスリップして覗いてみたい(若手海女さん)」と、やりがいも教えてくれました。

去年もでしたが、今回も書ききれないくらい面白いトークが満載で、いつもこのレポートをまとめるときにもどかしい思いをします。

トークイベントは11月19日まで毎週続きます。皆さまぜひお越しください。
志島の海女さん、本日はありがとうございました。

(吉村真衣)

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第1回 2022年10月15日 志摩志島の海女さん
第2回 2022年10月22日 志摩安乗の海女さん