【フィールドワーク通信】18. 2021年のヒジキ漁(2)

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。

2021/4/25(土)

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4時間かけて刈り取られたヒジキは、男性陣の船外機によって次々と港へ運びこまれます。

港で待ち受けているのは大きなクレーンとトラック。

吊って……

積みます。

石鏡のヒジキは、近くの鳥羽展望台の駐車場に干されます。
先ほどまでヒジキを刈っていたみなさんは、休む間もなく展望台へ移動。すれ違いざまに「手も足もふらふらや、力が入らん〜」とおっしゃる方も。
それでも機敏な動きで、トラックから下ろしたヒジキをアスファルトに広げていきます。

1日で、この3倍ほどは干されたのではないでしょうか。
展望台を訪れた観光客のみなさんは目を見張り、海女さんは「珍しいやろ」と笑っていました。

しばらく経ってヒジキの表面が乾くと、フォーメーションを組むように、みなさんがずらりと一列にしゃがみます。

裏面を乾かすためにヒジキをひっくり返しながら、付着した海藻のクズなどのゴミを除去していくのです。手元を素早く動かし、要領よく前進します。
しかし刈り仕事からの干し仕事からのしゃがみ作業で、疲労も最高潮。それでもひたすらに作業です。

約1時間後、きりのいいところでこの日は解散となりました。
翌日も早朝から残りの裏返し作業。そして表裏が乾ききったヒジキは出荷準備に入ります。

26kgずつ袋詰めし、あとは入札待ちです。これで一段落。

こんなヒジキ漁が、シーズン中に何度も繰り返されます。手間がかかり、体力と気力が必要な漁です。
海でヒジキを刈る際は、波に流される、深みにはまる、藻に足が絡め取られるなどつねに危険と隣り合わせだそうです。みなさん、互いに目を配り安全を確認しながら作業を進めます。
ある方がおっしゃっていた「怪我をしないために無理をしない」、海女漁でもよく聞く言葉だなと思いました。自分の身を守るためにも、集団での労働をつつがなく終えるためにも、自分と周囲の状況を理解し「無理をしない」ことが大切なんですね。

地域の皆さんが総力をあげて収穫する鳥羽志摩の天然ヒジキは、食感も風味も最高です。
見かけたらぜひお手に取ってみてください。

(吉村真衣)

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