【フィールドワーク通信】47. アワビ殻の加工
【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。
海女研究センターでは、海の博物館に所蔵される昭和〜平成期の漁村の写真のアーカイブ化をおこなっています。
各写真にキャプションをつけるにあたり、分からないことがあれば現地に聞き取りに行きます。
今日はそんな聞き取りのなかで出会ったお話です。
お話の終わりがけ、かばんから取り出されたのはつやつやに磨かれたアワビ。
写真でうまく伝えきれないのが残念ですが、角度を変えるとつやつやぴかぴか、虹色に輝きます。
この方は、磨いたアワビの殻やそれで作ったアクセサリーを持ち歩き、客人にプレゼントとしてあげているそうです。
「遠方の人が、お返しに地元のお菓子を送ってくれることもあった」と、アワビの殻をきっかけにしたコミュニケーションを楽しそうに語ってくれました。
真珠層をもつアワビの殻は、加工品としても利用されてきました。
近年ではハンドメイドが普及したこともあり、漁村の人々の手でアワビの殻が加工・販売されるのを見かけるようになりました。
こちらは海女さんがアワビの殻やシーグラスで作ったアクセサリーです。
海女研究センターがある鳥羽市立海の博物館のミュージアムショップでも、アワビの殻を利用したペンダントトップやイヤリング、ピンバッジなどが取り扱われています。
海の博物館ミュージアムショップ:https://umihaku.theshop.jp/
漁村の人々が、アワビを生鮮水産物として扱うだけでなく、多様な価値を見出しながら関わっていることを感じる一幕でした。
(吉村真衣)