【フィールドワーク通信】4. 朝に決まるスケジュール

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。

2020/11/18(水)

朝の6時半頃、お世話になっている海女さんからメッセージがきました。

「今日も海女漁はお休みです」

「も」という表現からわかるように、実はここ数日、海女漁の見学をお願いしては休漁でキャンセル……という日が続いています(毎回連絡をくださる海女さん、本当にありがとうございます!)。

雨や風の日はもちろん、一見すると晴れて気持ちのよい日でも、波が高ければ海女漁はお休みです。波が高いと体があちこちに流され、とても危険なのです。

海女さんたちは天気予報の情報や肌で感じるその日の天気から、翌日の漁の有無を予想しています。しかし天気は移り変わるので、当日にならないとなかなか正確な判断ができません。

そのため海女漁のシーズンは、漁が予定されている日は毎朝町内放送で海女漁の有無が告知されます。漁が休みだと知ると、海女さんは休息をとったり田畑の世話をしたり、家の諸々をしたりとその日の過ごし方を変えます。

さて、大変なのは勤め先のある海女さんです。地元の職場なら、海女漁に理解がありスケジュールを融通してくれるところもあるそうです。しかし漁村の仕事が減っている現在、若い人は市街地など遠い職場で働くことが増えています。すると、当日朝に電話をかけ「今日は海女があるので休みます」なんてことがしづらくなってしまうのです。

海女漁の稼ぎだけで食べていくことが難しい現在、複業をしようにもこのような限界があり、海女を選ばず他の仕事に就く人が増えています。

ああいつか、日本中の職場が海女漁や各々の地域固有の生業に理解があって、「今日は漁に行ってから出勤します」「は〜い気をつけて」なんて応酬が当たり前になる日が来れば……と夢想してしまいますが(実現したらどんなにか素晴らしいでしょう!)、悲観することばかりではありません。近年では場所を選ばずできる仕事もたくさんあります。若い海女さんの中には、フリーランスの仕事と兼業する人がいます。それだけでなく、海藻の加工やブランド化など、地元漁業に関連した産業をおこして活躍する人もいます。

場所に縛られない仕事、地元の産業を伸ばすような仕事、いろんな可能性があることを目の当たりにします。
海女漁の存続を考えるときには「どう守るか」だけでなく「どう変えるか」「どう応用するか」、さらにいえば漁村の産業そのものをどうしていくかという目線が欠かせないと、漁村の現状をみて考えています。

(吉村真衣)

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