【フィールドワーク通信】7. ナマコ漁(2)
【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。
2020/12/10(木)
晴れて暖かい日。しかし磯場の近くに着くと、またしても轟く波音。波打ち際まで行くと、波音どころか波に砂利が揉まれるじゃらじゃら、ざわざわという音まで聞こえました。
先日よりも一層荒い波に驚き、思わず海女さんに「今日も漁あるんですね!」と言ったところ「さすがにこんな波になるとは思わなかった」と苦笑い。しかし今日もしっかり潜ってらっしゃいました。
爪痕のように食い込む波。つねに砂利が波に運ばれるためか、この浜は来るたびに少しずつ傾斜が変わっているように感じます。
12月中旬ですがまだまだ水温は高く、ナマコが全然姿を見せないそう。ナマコを探して潜る場所をどんどん変えていく海女さんもいました。
若い海女さんのなかにはナマコを「かわいい」と表現する方が時折います。
どこがかわいいポイントなのでしょうか。
「ナマコちゃんは拾うとボールのように丸くなる。スカリ(獲物を入れる網)の中でふわふわ丸いのが浮いてかわいい」
「勢いよく掴むと固くなるけど、そっと触ると柔らかいまま。手のひらでだらんと伸びて、指の形がつく」
なるほど。確かにナマコ、なんだか愛嬌があって見ていて飽きません。
ナマコが何匹もいると、せっかくのチャンスを逃さないために、指の間それぞれに1匹ずつ挟んで海面へ上がってくることもあるそうです。
冬の大切な収入源であるナマコ。今年の漁が終わってしまう前に、もっと姿を見せてほしいなと思います。
(吉村真衣)