【フィールドワーク通信】8. 写真展の準備(2)

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
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2020/12/11(金)

今日は漁村に行ったわけではありませんが、海女研究センターのメンバーや海の博物館、海女さんなどと少し写真展の打ち合わせをしたので、PRも兼ねて少し書き残しておこうと思います。

このHPでも何度か触れている、写真展の事業。
(昨年度の写真展についてはこちら。今年度の写真展はこちらの関連事業として開催します)

海の博物館に収蔵されている昭和40年代以降の漁村の写真をパネル化して展示し、地域住民の皆様と共有しつつ、写真に関する情報収集をおこない後世へ守り伝えることが目的です。

準備のなかでもとりわけ頭を抱えるのが、写真選びです。
フィルムカメラを使用していた当時。デジタルカメラと違って、その場で写真の出来を確認することもできなければ、「とりあえずたくさん撮っていらない写真は後で消そう」なんてこともできません。

海の博物館で写真選びをしていて感じるのは、写真1枚1枚の無駄のなさ、美しさです。
たとえば漁村の日常風景では、海女漁のようすだけでなく漁の前後の活気ある風景、道端でのちょっとした団らん、町並みなど、当時からすれば「あたりまえ」でも今は失われてしまったたくさんのシーンが写されています。

年中行事の写真でも、写真を撮った学芸員さんのプロの仕事を思い知ります。
漁村の年中行事はすることや場所が細かく分かれているほか、衣装、お供え物、所作など見るべきもの、残すべきものが山ほどあります。
経験の浅い私などは「しまった撮り忘れがあった!」「撮りたかったけど間に合わなかった……」など失敗ばかりです。

しかし博物館の写真は、あらゆる場面、あらゆるモノが不足なく、しかもとてもきれいに収められています。
撮影する年中行事を一から十まで理解したうえで、ある程度計画を立てつつ臨機応変に動かないとこんな写真は撮れないなと尊敬しきりです。

それだけ素晴らしい写真が大量に残されているので、写真選びは本当に大変(だけど幸せなお仕事)なのです!

意識しているのは、漁村の暮らしをまんべんなく多角的に展示すること。あとは、どんなことをヒアリングをしたいかを計画しながら適切な写真を選ぶこと。そんな軸はあるものの実際の作業では悩みっぱなしで、関係者の皆様に助言をいただきながら試行錯誤しています。

写真展では渾身の力で選んだ写真たちを、こんな裏舞台にも思いを馳せながら楽しんでもらえるとうれしいです。

(吉村真衣)

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