【フィールドワーク通信】14. 志摩の浜
【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。
2021/2/17(水)
今日はありがたいことに、志摩方面に連れて行っていただきました。
目的地はありつつも、道中はなりゆきまかせ。
まずは甲賀の浜に行ってみました。
すっと胸のすくような海が広がっていました。
志摩半島では磯焼けが深刻ですが、甲賀はまだ海藻が生えている方だそう。
海が枯れていないこの景色、けっして当たり前ではないんですね。
網小屋ではワカメを干している最中。今はイセエビ漁のシーズンで、隣の網小屋にはドラム缶でつくった薪ストーブを焚いてエビ網を繕う漁師さんたちがいました。
志摩には海士(かいし、おとこあま)さんたちがいて、お会いした漁師さんたちも夏には潜っているとのこと。甲賀の近況について色々教えていただきました。
ノミはステンレスを削ったお手製だそう。海士さんはやはりたくさん獲物をとれるようで、スカリも大きめでした。
続いては越賀の浜へ。
崖を背にした網小屋にお邪魔します。網小屋につくと、あれだけ吹き荒れていた強風が穏やかになりました。
海の博物館にも、崖下に建てられた海女小屋の写真が数枚あります。崖下とそれ以外の場所の風の強さの違いに、「こういうことか!」と納得しました。
カラフルなスカリ。みなさん好きな色で編むそうです。ツートンカラーのおしゃれなスカリも見かけました。
装着されている鉄製のノミは錆び気味ですが、海女漁のシーズン前に鍛冶屋さんで磨いてもらいます。
越賀の海女さんは、雨が降っていても海さえ凪いでいれば潜りにいくそうです。
現役で使われている、船を揚げるための丸太。こちらでは「スベリ」と呼びます。
すぐ近くの磯場には、アオサやフノリ、ケノリなど多様な海藻が自生していました。
色とりどりの海藻が揺れるさまはお花畑のようで、興奮してしまいました。
自然豊かな、貴重な磯場です。
今回は道中の様子を脈絡なく並べてしまいましたが、漁村の暮らしの一端が伝わるとうれしいです。
(吉村真衣)