【フィールドワーク通信】15. 石鏡のおりあわせ

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。

2021/4/4(日)

あいにくの雨模様ですが、今日は石鏡の海女さんにとって大切な「おりあわせ(磯おり合わせともいう)」の行事の日です。

2月のかづきおり(詳細はこちら)と同じく海上安全、大漁満足の祈願ですが、かづきおりは海藻漁のため、おりあわせは4月下旬から始まるアワビ漁のためという説があるそうです。

まず、朝に五人年寄が円照寺で町の繁栄や海上安全、大漁満足の祈祷をうけます。
午後になると海女さんたちの出番。
円照寺で祈祷をうけた御札を2枚ずつ受け取り、1枚は細長く折って髪に結わえ、もう1枚は玄関に祀ります。

そしてかづきおりと同じく、旧堤防、漁協内につくられた「八大龍神」の祭壇、町内の石碑、六地蔵と三界萬霊、船をもっている人は船、という順にお供えをして回っていきます。

ただし、かづきおりとはお供えものが少し違います。

こちらはかづきおり。

こちらがおりあわせ。
丸餅と小豆ご飯、ナマスがなくなり、ぼた餅が登場します。人によってはタツクリや干し柿も供えていました。

午後1時に開始の合図が放送されるはずが、その前から「まあええやろ」とお供え物が始まります。漁村でよく出会う、おごそかさと緩さの絶妙なバランスです。

ぼた餅は丸ごとではなく、少しずつすくって供えていきます。
小ノミを枡にカンカンカンと打ちつけ、海に向かって手を合わせて祈りを捧げます。

祭壇前でのお供え。御札は髪のどこに結わえてもいいようです。みんな好き好きに結わえ、リボンみたいでかわいいです。

今日のアワビはりっぱだと、みなさん喜んでいらっしゃいました。
かづきおり同様、お供えのあとにこのアワビをノミでおこしたり、額や唇とアワビを交互に触ったりします。

おりあわせの間じゅう「大漁しますように!」「(若い海女さんたちに向かって)あんたらが大漁せなあかんわー!」など、大漁、大漁という言葉が飛び交っていました。

おりあわせのときだけはきれいに雨がやみ、幸先の良さを感じました。
昨年は新型コロナウイルスの影響でアワビの口開けが遅れましたが、今年はどうなるのでしょうか。
漁村ではふつふつと、アワビ漁に向けモチベーションが高まっています。

今年も全国の海女さん、海士さん、そして漁師さんたちが安全に、大漁できますように。

(吉村真衣)

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