【フィールドワーク通信】31. 漁村で収集した古写真

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
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2021/7/31

海女研究センターが力を入れている事業のひとつ、海女関係のアーカイブ・データベースの構築。

フィールドワーク通信でも何度か紹介してきましたが、海の博物館を中心に蓄積されてきた映像や写真、研究、調査などの情報をデータベース化し、研究や教育、情報発信に向けて活用していく事業です。

2019年度から実施している漁村での写真展も、この事業の一環です。
海の博物館には、1971年の開館以来、調査活動や展示の準備のために漁村で撮影された膨大な量の写真フィルムがあります。
海女研究センターではそれをデジタル化し、キャプションをつけ、後世に残すための作業を進めてきました。
そして成果を広く還元するため、地元の漁村に1週間ほど出張してその地で撮影された写真を展示し、住民の皆さんとの交流や聞き取り調査を行っています。

こちらは2021年2月に開催した石鏡での写真展。詳細はこの記事で紹介しています。

このとき新しい試みとして、地元の皆さんが自宅に所蔵する古写真を収集しデータ化しました。
データは三重大学、海の博物館、地元町内会で共有し、研究教育活動やまちづくり活動に活用していく予定です。

この日は、地道にスキャンした約110枚の写真データを石鏡町内会にお渡ししに行きました。

写真展の1週間だけでこれだけの枚数が集まるなんて嬉しい予想外でした。
石鏡の皆さんの温かいご協力に感謝してもしきれません。

こちらは海女の出漁のようす。
白波を立て、大挙して出漁する勇ましさがいかにも石鏡らしいと写真展会場でも評判でした。
石鏡では1960年代からウエットスーツが普及しましたが、この写真は磯着姿なのでそれ以前に撮影されたものでしょうか。
「昔は海女さんがようけおった」としみじみ振り返る声がありました。

海女小屋のたき火の燃料にするため、浜で流木を拾う海女さん。
漁だけでなく、このような暮らしの何気ないひとコマが残されているのもうれしいです。
住民の皆さんは、今はなくなってしまった後ろの立派な松を懐かしんでいました。

海で遊ぶ子ども。漁村の子どもたちはみんな海が遊び場でした。
かなり無茶な遊び方をしたという笑い話もよく聞きます。
後方にはかつての浜の風景が写り込んでいます。
現在はコンクリートの堤防で固められてしまってこの姿はありません。
浜に引き揚げられているのはほとんどが海女船。男性中心にお互い助け合って、半日がかりで船を揚げたそうです。

海女さんのいる漁村では昭和期から写真撮影会がよく開催されていました。
そのとき撮られた写真を譲り受け、保存している人が多いようです。

1枚の写真から伝わる事実、記憶、語りは尽きることがありません。
引き続きこの事業を通して、海の博物館や鳥羽志摩の皆さんと連携しながら漁村のさまざまな姿をとらえていきたいです。

(吉村真衣)

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