【活動報告】「現役海女さんと語る!海女の魅力 in海博」第4回を開催しました
鳥羽市立海の博物館と三重大学海女研究センターが主催するイベント「現役海女さんと語る!海女の魅力 in海博」の第4回が11月27日に開催されました。
今回は三島由紀夫の『潮騒』の舞台としても有名な神島から、海女さんにお越しいただきました。
50代・海女歴約20年と、60代・海女歴約30年のお二人でした。
お二人とも神島生まれで、高校卒業後に島外へ働きに出た経験があるそうです。
60代の海女さんは、海女をはじめたきっかけをこう語ってくれました。
子どもの頃は遊びで潜って、岩牡蠣を岩でちょんちょんちょんって突きながら食べたり、泳いで、潜って、なにか拾ってきたりはしてた。
30歳くらいで子どもができて、子どもをおばあちゃんに預けながら(本格的に海女を始めた)。
おばあちゃんから、神島で嫁いだら海女と畑はした方が自分のためだよって言われてその気になった。
一方で50代の海女さんからはこんなエピソードが。
実家に戻ってきてから潜りました。
親が海女さんをしてましたけど、神島にいても私は潜ったことなかったので、どれがサザエでどれがアワビでどれがウニか、どれがワカメでアラメでヒジキか全然知らない。潜り方ひとつ知らなかった。
どうして潜るようになったんですか?の問いには、
素敵だった、ですね。お金になるというより、周りのおばさんたちが「せっかく(神島に)戻ってきたんだから」、体を壊して帰ってきてたので「健康のためを思って入んな、体強くなるよ」って言われて。
おばさんたちがパワフルに、ものすごく長い時間、海女漁に行って帰ってきては畑行ったり他の仕事やったり、でも疲れたってこと言ってない。バイタリティがある。それを見て、やってみようかなって。
神島は鳥羽港の北東約14km、愛知県伊良湖岬の西方約3.5kmにあり、外海に接しているため潮の流れが激しいことが特徴です。
「一足(いっそく)飛び」って言うくらい、船から海にどぼんと下ろされると、すぐにばーっと流されてくんです。
きれいにまっすぐ潜れるのは波の穏やかなときだけで、普段は「斜め泳ぎ」といって潮に向かって斜めに潜るそうです。
常に潮に流されるせいで、アワビを見つけ、息継ぎをしてから再び獲りに潜ると同じ場所にはたどりつけず、逆にアワビがいないので移動しようとすると同じ場所にばかり戻ってしまう、というのが神島の海女さんあるあるだと教えてもらいました。
体力を消耗しないよう、余分な作業をしないよう、獲れるものだけを確実に獲るスタイルを心がけているそうです。
神島ならではの海との付き合い方に、会場からは何度も感嘆の声があがっていました。
最後に、こんな素敵なエピソードの紹介もありました。
8月入ると、野生のユリが咲くじゃないですか。「ヤマユリが咲く頃に、アワビがユリを見に来る」って言い伝えがあるの。
アワビがユリを見に来るから、すごく浅瀬に来る。
なんでもないところにペタッといたりして、「これ出貝(でがい)やな、奥から出てきた貝やな」って。そういう楽しみっていうか、言い伝え、ちょっと神秘的。
陸の自然環境と海の自然環境をむすびつけた自然知を、詩的な言い伝えのかたちで受け継いでいくことに漁村の魅力を感じました。
この他にも自慢のヒジキやアラメ巻、信仰のお話など神島の暮らしが伝わるお話が盛りだくさんでした。
次回は12月11日、菅島の海女さんに登場していただきます。
まだ枠がありますので、ご関心をお持ちの方は以下のご案内をぜひご覧ください。
リンク:「現役海女さんと語る!海女の魅力 in海博」を開催します
どなた様もぜひお越しください。
神島の海女さん、本日はありがとうございました。
(吉村真衣)
一覧はこちら 青字のリンクから記事を読めます
第1回 2021年10月23日 鳥羽市答志の海女さん
第2回 2021年11月6日 鳥羽市石鏡の海女さん
第3回 2021年11月13日 鳥羽市国崎の海女さん
第4回 2021年11月27日 鳥羽市神島の海女さん
第5回 2021年12月11日 鳥羽市菅島の海女さん
第6回 2022年1月22日 鳥羽市答志和具の海女さん