【フィールドワーク通信】70. 石鏡のおりあわせ

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
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4月4日、鳥羽市石鏡町でおこなわれた海女さんの年中行事、おりあわせを見学しました。
2月16日のかづきおりに引き続き、大漁や安全を祈る行事です。

(行事の詳細は過去の記事をご覧ください)

先日のかづきおりでは開始時間に諸説あって現地でとまどう一幕がありましたが、今回のおりあわせの時間も未定ということで、例年の「13時から」に合わせて向かってみたところ、12時半に「もう始まりました」の連絡が。

早めに移動したのでなんとか間に合い、ほっと胸をなでおろすとともに、このスリルがなんだか癖になりつつあることを感じたり。

石鏡にある円照寺で祈祷を受けた御札を髪につけた海女さんたちが、旧堤防、漁協内につくられた「八大龍神」の祭壇、町内の石碑、六地蔵と三界萬霊、船をもっている人は船、という順にお供えをして回ります。

御札は細長く折りたたんでヘアピンでつける人が多いですが、これといった決まりはないようで、こちらの海女さんは洗濯バサミを使っていました。

「洗濯バサミ!」と思わず声をあげたところ、「(留めるものが)何もなかったもんでな」と笑っていました。

「八大龍神」の掛け軸の前にお供えをする海女さんたち。

御神酒、ボタモチ、ナマス、タツクリ、浜で拾ってきた小石などが供えられます。

アワビを撫でたり、ノミでおこす所作をしたりするその手つきに、安全・豊漁への願いだけでなくアワビそのものへの特別な思いも込められているように感じます。

志摩では既にアワビ漁が始まっており、鳥羽もこれから徐々に解禁です。
とくに志摩では資源減少が止まらず、厳しい状況が続いています。

海女・海士さんたちと一緒になにができるのか、引き続き考えながら行動に移していきたいと、改めて身が引き締まる春です。

(吉村真衣)