【フィールドワーク通信】78. 「写真で紐とく佐藤養殖場と的矢の記憶」を開催しています

こちらの記事で紹介した、「写真で紐とく佐藤養殖場と的矢の記憶」の的矢老人憩いの家での様子を報告します。

有限会社佐藤養殖場的矢湾養蠣研究所は、日本のカキ養殖のパイオニア的存在であるだけでなく、地元的矢の皆さんにとって並々ならぬ思い入れがある存在です。

写真展が始まるなり地元の皆さんが多く来場し、口を揃えて「上長さん(佐藤忠勇氏の愛称)のおかげで的矢がある」と熱く語ってくださいました。

会場のようす。当時の的矢の暮らしについて多くのお話を聞くことができました。

産業がほぼなかった的矢に佐藤氏が一大企業をつくった。雇用がうまれ、多くの住民が働く場ができた。福利厚生も手厚く、豊かに暮らすことができた。

こんな語りが出てきたのは、次のような写真たちから。


こちらは女性たちによるカキ剥きの作業です。
的矢だけでなく、近隣集落の多くの人々がここで職を得ることができました。

流水海水浄化装置により浄化したカキを、箱詰めしている様子。中央にいるのが佐藤氏です。


木箱に詰められたカキは国鉄鳥羽駅から東京に運ばれ、高級ホテルやレストランで提供されました。

佐藤養殖場があったから的矢がカキの一大産地になり、ブランド力をもつことができた。生食できる無菌状態のカキは世界的な注目を集め、国内外の各地から視察が訪れた。

そんな語りを裏付けるように、佐藤氏が海外からの視察者をもてなす写真も残っています。

的矢ガキを生み出すため昼夜励んだ、佐藤氏をはじめとする研究者たちの写真も残されています。

今後も的矢が誇るカキ養殖の歴史や実態について明らかにし、広く世に発信していきたいです。

ご協力いただいた有限会社佐藤養殖場、的矢自治会、そして住民の皆さまありがとうございました。

展示した写真は志摩市役所、志摩市立図書館を巡回中です。
詳細はこちらをご覧ください。

(吉村真衣)