【フィールドワーク通信】79. 2024年のヒジキ漁

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
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5月8日、鳥羽市石鏡町へヒジキ漁の撮影に行ってきました。

石鏡では昔、石鏡町内を南・北・中・御堂(みど)の4つの組(ハエ)に分けてひじきを刈っていました。

漁場は各組で一年毎に変わり、売上金はそれぞれの組内で分配して一部は地区の行事費用に充てていました。

その頃は参加する人が多かったため、男性は55歳を定年としていたそうです。しかし最近は刈る人が少なくなったこともあり、現在のように石鏡町全体の共同刈りになりました。

朝漁港に集合した海女さんたち。ヒジキを刈る鎌を腰に挿していざ出漁。

「ヒジキ口(ぐち)」の時は、海女漁は休みです。今年の刈り手は17人ですが、その内現役の海女さんは11人でした。

「自分の身体がきつくても共同仕事こそ一生懸命にするという気持ちが大事」「ヒジキは根っこを残して刈るんや」と草をつかんで実演してくれました。

刈ったヒジキは、男性たちが船外機で漁港まで運びます。

漁港でトラックに積み替えて、干し場として借りている鳥羽展望台の駐車場まで運びます。

「お嫁に来て15年目です。少し慣れました」
「今年のヒジキは去年より伸びていて嬉しい」
運ばれてきたヒジキを14人の干し手の女性たちが手際良く干します。

この日は風が強くて、午前中に干したひじきがどんどん渇いていきました。

乾いたヒジキは、25キロ入りの袋に詰めていきますが、こぼれることも考えて26キロ入れるそうです。

「上等な」美味しい「石鏡のヒジキ」を刈る海女さんたちに元気をいただいた3日間でした。

大変な作業中にも拘らず、質問に答えてくださった皆さまありがとうございました。

(﨑川由美子)


過去のヒジキ漁の記事はこちら

【フィールドワーク通信】17. 2021年のヒジキ漁(1)
【フィールドワーク通信】18. 2021年のヒジキ漁(2)
【フィールドワーク通信】48. 2022年のヒジキ漁(1)
【フィールドワーク通信】49. 2022年のヒジキ漁(2)
【フィールドワーク通信】50. 2022年のヒジキ漁(3)