三重大学海女研究センター

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海女研究センタースタッフによるフィールドワークの紹介です

【フィールドワーク通信】88.菅島しろんご祭り

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。
フィールドワークは感染症予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。

2025年7月5日、鳥羽市の菅島で行われたしろんご祭りを見学しました。
この祭りは古くから伝わる神事で、海女さんたちが採ったつがいのアワビ(まねきアワビ)を白髭神社に奉納し、海の安全や大漁を願う大切な行事です。
しろんご浜に着くと、すでに多くの地元の方や観光客でにぎわっていました。その中に、白い磯着をまとった海女さんたちの姿も見えました。

神事が始まると、海女さんたちは一斉に海へと向かいます。潮が引いた岩場に足を踏み入れる姿からは、長年この地で海と向き合ってきた彼女たちの力強さが伝わってきました。やがて、つがいのアワビが採れたという知らせが聞こえると、浜で見守る人たちからは大きな拍手と歓声が沸き起こりました。

その後、神前で再び神事が執り行われました。アワビが捌かれ、参加者と分かち合われる様子を見て、自然の恵みを大切にしながら長い年月をかけて育まれてきた地域のつながりを改めて感じました。
今回の見学を通して、しろんご祭りは単なる伝統行事ではなく、自然とともに暮らす人々の思いが息づいた文化だということを実感しました。地域の方々が誇りを持ってこの祭りを守り続けている姿に、深く心を打たれました。

(菅沼文乃)

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