【フィールドワーク通信】2. 石鏡の海女小屋

【フィールドワーク通信】では、調査などで見かけた漁村の一場面を書き残しています。砕けた内容が多いですが、漁村の暮らしが伝わればうれしいです。

2020/11/5(木)

お世話になっている海女さんにお願いし、鳥羽市石鏡(いじか)町の海女小屋(海女さんが漁の前後に休憩、着替え、食事などをする簡易的な小屋)におじゃましました。

今日は風もなく波も穏やかで、海女さんが言うところの「ええ日」でした。

海女小屋の中では、木材や竹材などで火をたいて暖まります。海で体の冷えた海女さんにとってこの火は欠かせません。思わず「ああ、あったかい〜!」と声を漏らす姿をよく見ます。

一方で海に入っていない来訪者にとっては結構暑いので、「あつないか〜」と海女さんに心配してもらうこともあります。

石鏡では午前中から昼にかけて2回、漁に出ます。海女小屋で準備をして1本目で70分潜り、海女小屋で休憩し、2本目でまた70分潜り、海女小屋でお昼をとってから市場で出荷という段取りです。今日は2本目を見学しました。

冬磯と呼ばれる今の時期は、サザエを採っています。浜からは海女さんが足ヒレを突き出して潜り、海面に顔を出し、近くに浮かべているスカリ(獲物を入れる網)にサザエを入れるのを繰り返す様子が小さく見えるだけです。遠く深い場所で潜る海女さんに至っては、ほんの小さな点にしか見えないことも。

そのため、70分の漁のあと、サザエがどっさり入ったスカリを重そうに引きずって海からあがる海女さんに「いつの間にあんなたくさん!」と驚きます。

浜から見えるのは、淡々と潜っては浮かぶ海女さんたちの姿。しかし網にずっしり詰まったサザエを見たり、時折海から響く磯笛(息を整えるためにおこなう口笛のような呼吸)や「あーっ!」という叫び声(ずっと息を止める反動で、海面に上がってすぐ大声を出す海女さんをよくお見かけします)を耳にしたりするとき、陸からは目の届かない海の中で、海女さん一人ひとりがハードな仕事をしていることがありありと伝わります。

 


おじゃました海女小屋

(吉村真衣)

フィールドワークは新型コロナウイルスの感染予防対策のもと、相手の許可をとって実施しています。

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